五感で感じる心地よさを実現
仲良し家族の27坪の家
仙台市 Kさま邸
Kさん宅は、昔ながらの商店街に建つ約27坪のお住まいです。広さが限られ、三方に隣家が迫る敷地条件の中で、いかに陽光を採り込み、圧迫感を感じさせない開放的な空間を創出するかが課題でした。
そこでまず、LDKに吹き抜けを設け、なるべく間仕切りのない大きな空間をつくることとしました。お打ち合わせ時にフランクで仲の良いご家族だとお見受けしたので、主寝室を兼ねる和室と2階のお子さんのお部屋には、広く開放できる扉を造作。いつも家族の気配を感じながら暮らせるように工夫しました。
窓の配置も、開放感を得る上で重要なポイントです。唯一外へ開いた南面に大開口を設けたほか、南以外の3つの方角にも抜けのある方向を探りながら、できる限り窓をつくることで採光を確保し、感覚的な広さにつながる明るい空間を生み出しています。
また、Kさんが希望された「柔らかく心地よい空気感」を演出するため、床にはオーク無垢、壁には珪藻土、勾配天井には青森ヒバ、梁には松と、自然素材をたっぷりと用いました。見た目の美しさにもこだわり、あえてダウンライトではなく間接照明を多用することで、青森ヒバのきれいな木肌面を存分に見せるよう配慮しています。
ヒノケン標準仕様の高断熱・高気密施工により、ボーダーレスな空間でも隅々まで冷暖房が行き届き、一年中快適が続くのもこの住まいの大きな魅力です。Kさんご家族に「極力家にいたいと思うようになりました」と言っていただける、心地よい居場所になりました。
限られた敷地面積を有効利用して建てた約27坪のKさん宅。冬は大開口からたっぷりと太陽の光と暖かさを採り込み、夏は庇で陽射しを遮るパッシブ設計が息づく
白いガルバリウムに木製ドアが映える玄関。屋根付きのアプローチで雨の日でもストレスフリー
ふんだんに用いた木や珪藻土といった自然素材で、室内は心地よい空気に満ちている
家全体はコンパクトながら、LDK+和室は23.5帖にもなる大空間。暮らし方に合わせてメリハリのあるスペース配分とした
1階は間仕切りを極力なくした設計。リビングの奥には、ご夫妻の寝室を兼ねた5畳の和室、その右手にダイニングとキッチンが配されている
開放感あふれるリビングと対照的に、こもり感のあるダイニング。キッチンは対面式で、背面の収納棚や飾り棚など、適材適所の造作が暮らし心地を高める
キッチン奥には、物干しスペースやクローゼットを兼ねる広い洗面脱衣室を配置し、家事負担を軽減
障子を閉めれば完全な個室にもできるリビング隣の和室は、主寝室を兼ねることでスペースを有効利用
直線で構成された美しい空間。細部にいたるまで繊細かつ丁寧な仕事ぶりが見て取れる
リビングに設けられた吹き抜けが開放感を高める。視線の抜けを意識し、隣家と目線を外して窓を配置した
2階ホールに据えられた造作のカウンターは、家族で共有するオープンスペース
2階カウンターからの眺め。抜け感のある正面の3連窓がKさんのお気に入り
青森ヒバの勾配天井が清々しい。廊下の上部を平らにすることで、圧迫感を軽減している
大きく開放できる造作のハイドアを設えた娘さんの部屋。全開放すれば空間の広がりが倍増
大きな吹き抜けの効果で、実際の面積以上の広さが感じられる。低い壁を設けることで、玄関から直接リビングが見えるのを防いだ
白い外観とシンメトリーな窓の配置が、夜の帳に映える
DATA
竣工年:2020年
坪数:約27坪
工法:木造2階建て・在来工法
住宅性能:UA値 0.49
暖房機器:パネルヒーター