「好き」と「使い勝手」を両立
アウトドア好きな20代夫婦の家
石巻市 Aさま邸
「アウトドアが大好き」というAさんご夫妻の家づくりにあたってまず検討したのは、120坪以上の広さがある土地の使い方でした。メイン道路側の西面に駐車スペースを設け、人目を気にせずにおうちキャンプが楽しめる広い庭を東側にレイアウト。家自体は南北に長い土地の形状を活かし、南向きの部屋を多く設けることで明るさを確保しています。
間取りや内装については、ご夫妻の中でイメージが固まっておられたので、それを具現化することに力を注ぎました。大きな窓から光が射し込むLDKは、木や石、アイアンなどの異素材が調和する素材感豊かな空間です。
家の中心に据えたのは、造作キッチンとダイニング。リビングはコンパクトながら、続き間となる洋室のロールスクリーンを上げれば奥行きのある一室に早変わりします。土間玄関からはリビングへの動線に加え、裏動線も設計。買い出しの荷物をパントリーに収納してからキッチンへ、という効率の良さが魅力です。また、広さにゆとりのあるユーティリティや、そこからつながる土間デッキなど、動線計画は使い勝手を追求しました。
全室トリプルガラス+高断熱で、北海道基準に匹敵する断熱性を誇る仕様も、この家の大きな特徴です。震災により水害を受けたエリアのため、建物の基礎を高めに設定するなど、安全性にもこだわっています。
じっくりと対話しながら、すべてにおいて妥協せずにつくり上げた住まいに、ご夫妻からは「毎日、家に帰ってくるのが楽しみ。家は3回建てないと満足した出来にならないと聞きますが、自分たちは1回目で大満足です」と、嬉しいお言葉をいただきました。
石巻市郊外の住宅地に立つAさんの家。ダークグリーンの外壁がスタイリッシュさを感じさせる
災害時の浸水に備え、基礎を高く設けた。Aさんの希望で、基礎コンクリートは墨を混ぜて黒っぽい色合いに仕上げた
奥さんセレクトの黒い石壁材が個性を放つ玄関ホールには、手洗い場も完備。右手はリビング、まっすぐ進むとパントリーに通じる2WAY動線とした
L字型で広さにゆとりのある玄関土間。ダウンライトやアカシアの床が上質な趣を添える
玄関とパントリーの間の階段下収納。ちょっとした空間も余さず有効活用している
日々の食料品や生活必需品、アウトドア用品までたっぷりと収納できるパントリー
冬は南面に設けた大開口から射し込むたっぷりの陽射しで、光と暖かさに包まれるLDK
アカシアの無垢床、OSB合板のテレビボード、アイアンの手すりなど、異素材が調和して、この家ならではの佇まいを生んでいる
レッドシダーの下がり天井が美しいキッチン。造作キッチンに用いたモールテックスのシックな色合いが空間にアクセントを添える
ダイニングとキッチンが横並びのストレートダイニングは、動線が短く、配膳や片付けの手間を減らせるレイアウト。仕切り壁にはちょっとした物を置くのに便利なニッチを造作した
ダイニングキッチンのエアコン1台で快適な温熱空間を実現。アカシアで造作したキッチン背面収納は風合い、収納力ともに奥さん絶賛の一品に
ダイニングの一角に造作したカウンターは、Aさんの作業スペースとして重宝している
8帖のリビングの隣に配した4.5帖の洋室は、ロールスクリーンで仕切れば客間としても利用できる
大きな窓と吹き抜け、高窓が、室内に明るさと開放感をもたらす。窓はすべてトリプルガラスで、性能値も申し分なし
洗面室兼ランドリールームは、テラゾー柄のタイルをあしらった造作洗面台が印象的。洗濯に関する作業はこの一室で完結する
洗面室からは庭の土間デッキに出ることができる。右手にはファミリークローゼットと脱衣室、浴室をレイアウト
キッチン、洗面室兼ランドリールームなどの水まわりの床には、掃除がしやすいPタイルを採用
渡り廊下のような2階ホール。南面の高窓は隣家と重ならないよう位置を慎重に検討し、絶妙な抜け感を確保した
グリーンのアクセントウォールが心地よい2階の寝室には大容量のウォークインクローゼットを併設。高窓からは山の緑を借景として楽しむことができる
暮らしの中での楽しみ方や使い勝手を考えて、家の東側に人工芝を張った広い庭をレイアウト
庭には屋根でつながる収納力抜群の外部収納を設置。大きなキャンプ用品も余裕で収納できる
「庭でテントを張って、ゆったりとおうちキャンプを楽しんでいます」と話すAさんご夫婦
DATA
竣工年:2022年
坪数:約40坪
工法:木造2階建て・在来軸組工法
住宅性能:UA値 0.38W/㎡K
暖房機器:エアコン