東に広がる田園風景を借景に
間口の狭い五角形の土地に立つ家
名取市 Mさま宅
黒いガルバリウム鋼板の外壁がスタイリッシュな印象のMさん宅が立つのは間口の狭い五角形の変形地。しかも南側に隣家が迫る一方、東面は大きく開け、田んぼや畑が広がるという特殊な条件の土地でした。そこでこの田園風景を借景として活かしたいと考え、ご夫妻に、東側に大きな窓を設けることを提案しました。南面は大窓にはこだわらず、吹き抜けや窓の位置の工夫により採光を確保しています。
敷地面積に限りがあるため、間取りは「広く見せること」を意識してプランニングしました。1階スペースは間仕切りを極力減らし、緩やかにつながるワンルーム空間としています。内窓やピクチャーウィンドウ、筋交いを現しにした耐力壁などを取り入れることで抜け感を出し、視覚的な広さを演出しているのもポイントです。
また、奥さんの要望だった家事がしやすく機能的な動線にも配慮しました。キッチンまわりはゆったりと計画し、一直線の水まわり動線、廊下やファミリークローゼットを巡る回遊動線を盛り込みました。
変形地であるために敷地に生まれてしまうデッドスペースも、駐車スペースや物置を配置するなどして余すことなく活用しています。東側のデッドスペースにはMさんの念願だったテラスをレイアウトしました。大きな窓を開ければアウトドアリビングとしても使えるデッキは、周囲の家からの死角になっていて、プライベート感たっぷり。周囲に気兼ねすることなく、家での時間を楽しめます。四季折々の田園風景を眺めながら、心豊かな暮らしが叶う家が完成しました。
吹き抜けと東側の大開口から光が届き、明るいリビング。内窓による抜け感も視覚的な広がりをもたらす
リビングの隣には和室を配した。2つの部屋を仕切る耐力壁は、筋交いの上部を現しにすることで意匠性をも持たせた
リビング上部の現しの梁はスギ材。吹き抜けを介して2階と緩やかにつながる設計
ダークグレーのアイランドキッチンはご夫妻のお気に入り。コンロ脇の壁面のタイルもキッチンに合わせてチョイス
キッチンは、二人で料理をすることもあるというご夫妻のために通路の幅を広くした。水まわりへの動線もスムーズ
洗面スペース兼ランドリースペース。左手奥には脱衣スペースと浴室を配した。造作の洗面台は作業台と一体化していて便利
階段の踊り場に設けられた四角い窓からは庭のオリーブの木を眺めることができる
2階ホールの一角にはMさんの書斎スペースがレイアウトされている
2階には9帖の子ども部屋も完備。真ん中で2部屋に仕切ることもできる
Mさんの要望で、落ち着いた色合いにまとめた主寝室。ウォークインクローゼットも完備した
奥さんこだわりの低めの上がり框が玄関に開放感をもたらす。ファミリークローゼットの扉は吟味を重ねて選んだ
玄関はセレクトショップのような雰囲気。奥のシューズクロークは施工中に入り口の高さを変更して低めにした
玄関まわりは、塗り壁や木張りの軒天でアクセントを付けた
黒いガルバリウム鋼板の外壁と片流れ屋根でスタイリッシュな印象のMさん宅。間口の狭い五角形の角地を有効に活用した
東面から見た外観。外へ長く張り出した庇がテラスに影をつくり、日射をしっかりコントロールする
キッチンに立ってバーベキューの用意をする奥さん。テラスで火をおこすMさんとの会話が弾む
リビングとデッキの床面はフラットに繋がっていて、料理の受け渡しも出入りもスムーズ
アウトドアリビングとして使えるタイル仕上げのテラスでバーベキューを楽しむご夫妻。目の前に爽快な田園風景が広がる
DATA
竣工年:2021年
坪数:約33坪
工法:木造2階建て・在来工法
住宅性能:UA値 0.38
暖房機器:エアコン