1階で日々の暮らしが完結する
一年中快適な屋久島地杉の家
栗原市 Sさま宅
周囲を水田と森に囲まれたのどかな場所に立つSさん宅は、茶色の外壁が印象的な外観のお住まいです。ソーラーパネルを設置したいというご意向があったため、建物を真南に向けて計画し、屋根は南に向けて勾配をつけました。
50代のご夫婦とお父様という家族構成から、当初は階段の上り下りをしなくて済む平屋で、かつ必要最小限の大きさの家をご希望でした。最終的には2階にお子さんたちが帰省してきたときのための部屋を1室設けましたが、普段の生活は1階で完結するコンパクトな間取りとなっています。
暮らしの中心となるLDKは、南面の大開口や最大天井高5mの大きな吹き抜けの効果で、18帖という数字以上のゆとりを感じさせる空間に。床と天井に用いた丈夫で味わいのある屋久島地杉が上質感とぬくもりを演出しています。
高齢のお父様の部屋は、お互いの気配を感じられるようリビングの隣に配し、生活しやすいようトイレにも近いところにレイアウトしました。また、ランドリールームと脱衣室を兼ねたユーティリティスペースは、空間を有効活用するために普段は開放して通路としても使い、必要に応じてカーテンで仕切るというスタイルを採用しています。
温熱環境については、冬場は寝室とユーティリティに設けた2台の床下エアコンで全館暖房し、夏場は2階のエアコン1台で快適な室温をキープ。高断熱・高気密の躯体性能により暖冷房のエネルギー消費を軽減し、一年を通して気持ちよく、エコな暮らしを実現しました。
元は農作業小屋が立っていた土地に新築したSさん宅。屋根には5.3kWの太陽光パネルを設置している
庭や周囲の豊かな景観を楽しめるウッドデッキは、幅8m、奥行き1.5m。オーストラリアのヒノキ「サイプレス」を用いた。軒を張り出させて陽射しをコントロールしている
外観は、緩やかな切妻屋根とムラ感のある茶色の校倉塗りの外壁が印象的。美しく整えられた外構や庭が建物の佇まいをさらに引き立てている
玄関に入ってすぐに、屋久島地杉の天井と床の空間が広がる。奥の扉はお父様の部屋へ通じる
2wayの玄関から水まわり方向を望む。暮らしやすさに配慮し、高齢のお父様の部屋の近くに玄関やトイレを設けた
屋久島地杉で仕上げた内装が心地よいLDK。視界が開ける南面には大きな窓を配した
窓の外にはアウトドアリビングとして使いやすい広いウッドデッキ。冬場は窓際のガラリを通して床下エアコンの暖気が室内に行き渡る
キッチンの背面収納の壁はタイル風の壁紙を張って仕上げ、室内のテイストに合わせた飾り棚を造作
青森県産のブナ材でつくられた照明「BUNACO」が、自然素材をふんだんに用いた空間にしっくりとなじんでいる
ダイニングの奥に設けた書斎スペース
「屋久島地杉は、節の模様が荒々しく豊かで見飽きないところが気に入っています」とSさん。最大天井高約5mの勾配天井と吹き抜けが開放感をもたらす
奥さんの希望でキッチンとダイニングは横並びにレイアウトし、配膳や片付けの効率をアップ。階段下のデッドスペースは、収納として有効利用した
通路を兼ねたユーティリティは、入浴時のために目隠し用のカーテンで仕切れるつくりに
大きな窓を設けたため北側でも明るく、洗濯の作業もしやすい。正面はトイレのドアで、玄関がすぐ隣にある
トイレは掃除がしやすいよう、広いスペースを確保。床は清掃性に優れるPタイルで仕上げた
お子さんたちの帰省時に備えて、2階には階段から直結した10帖の空間を設けた。北側の高窓からは栗駒山を望める
DATA
竣工年:2021年
坪数:約33坪
工法:木造2階建て・在来工法
住宅性能:UA値 0.38
暖房機器:エアコン