Web見学会vol.4 二世帯が一緒に暮らす、アトリエのある家
最近は、リノベーションもかなりスタンダードな家づくりの選択肢のひとつになってきました。おかげさまで当社でもコンスタントにリノベーションのご相談をいただいております。中でも一定数いらっしゃるのが「実家リノベ」を希望されるお施主様です。そこで今回は二世帯で暮らす築27年のご実家を増築してアップデートし、リノベーションで奥さんのアトリエも併設した、仙台市のKさんのお住まいをご案内しましょう。
この家は奥さんのご実家で、もともとKさんご夫妻とお子さんたち3人、お父さんの6人で暮らしていました。しかし、冬になると家の中がとても寒く、またお子さんたちが大きくなるにつれて手狭になってきて、リノベーションを考え始めたそうです。家づくりにあたっては「冬でも暖かい」「二世帯の家族6人がゆったりと暮らせる」「カーテンなしでスッキリ暮らせること」が主なテーマとなりました。
Kさんの家は仙台市の住宅地にあります。外まわりは、白と明るいブラウンでコーディネート。外も中も大がかりに手を入れたリノベーションで、築27年とは思えない今風の外観に大変身を遂げました。お庭と駐車場の間には、外からの視線を遮るために、少し背の高い柵を設置しましたが、これがまたお住まいの雰囲気づくりに一役買っています。
すっきりとシンプルに仕上げた玄関には、片側の壁面を最大限に活用して玄関収納を造り付けました。かなりの大容量なので、家族6人分の靴がきれいに収納できます。玄関まわりが片付いていると、気持ちがいいものです。
家族6人の共用スペースであるダイニング・キッチンは、オープンでゆったりとした広さ。Kさんのお住まいは3方向がお隣の家と接しているため、横長の窓を目線より上の高さに設けることで、ご夫妻が希望した「カーテンの要らない家」を実現しました。キッチンは隣に配した奥さんのアトリエとつながっています。このレイアウト、奥さんには「創作活動の合間でも家事がしやすく、時短になっています」と好評です。
キッチンに立つとこんな感じでフロアを見渡せます。外からの視線が気にならないので、安心感がありますね。内装は建具も含め白を基調にコーディネート。そこに床や家具の木質感が程よくプラスされて、ナチュラルで心地よい家族の団らん空間になっています。
Kさんのリノベーションでは、窓の面積を小さくした分、天窓をつくって室内に自然光を採り込む工夫をしました。家の北側に位置するダイニング・キッチンですが、この効果でだいぶ明るくなり、快適性もアップしています。1階にはこのほか、水まわりやお父さんが暮らすスペースが配置されています。
それでは、2階へまいりましょう。階段を上がると廊下がありますが、この床にご注目ください。ガラス板をはめ込んでいます!屋根につけた天窓からの光を、1階まで届けるためにこのようなつくりにしました。強度は十分なので、ガラスの上を歩いてもまったく問題ないですよ。
2階の廊下のドアを開けると、どーんと広がる子世帯のリビング。もともとベランダだった空間を、リノベーションで部屋の一部に組み込むことで、この広々したスペースを確保しました。旧宅の天井板は取り払って屋根なりの天井に変えたのですが、その際、現しになった梁にプロジェクターを設置。真っ白な壁がスクリーンとなり、リビングをシアタールームとしても楽しめるんです!
スクリーンにもなる壁のほうから廊下方向は、こんなふうに見えます。2階も1階と同様に窓を小さく、少なくしたので、その代わりに天窓を設けて外の光を採り込むようにしました。写真右手の壁沿いには、腰高くらいの収納棚を造作。スポットライトがフレームを照らして、空間全体がちょっとしたギャラリーカフェのような趣きですね。ちなみに夜ゆっくり過ごすことの多いこの2階リビングは、Kさんの希望をかたちにしたもの。インテリアや家具のセレクトにセンスが光ります。
子世帯リビングの北側に位置するこのあたりは、前の家にはなかった増築部になります。ここは、音楽が好きなKさんの趣味スペース。造り付けのカウンターは、家族で共有するワークスペースになります。
1階のダイニング・キッチンの横には、キャンドル作家である奥さんのアトリエを併設しました。材料や道具が造り付けの棚いっぱいに、所狭しと並んでいます。ここが、Kさん宅で唯一大きな掃き出し窓のある部屋で、洗濯物を外に干すときはここからデッキに出ます。
こちらが奥さんが手づくりしているキャンドル作品です。オシャレで可愛くて使うのがもったいない(!)ようですが、火をつけて蝋がとけていくと、このまわりの植物たちがさまざまに映し出されてきれいでしょうね…。ショップでの委託販売やイベント出店、インスタグラムでの通信販売などを行っているそうですので、気になる方は当社までお問い合わせください。
Kさんのお住まいは窓を少なく小さくし、高性能な窓に入れ替えたので、それだけで住宅性能は上がりますが、加えて床や壁、屋根まわりに断熱材を入れ、家全体の断熱・気密性を高めました。その効果があって「以前は隙間風が入ってきて寒かったのが、今は本当に快適です」とKさんが笑顔でお話くださいました。
既存の建物の状態にもよりますが、築年数がそれなりに経っていても、今のご家族の暮らしに合ったかたちにつくり直すことはできます。特に、ご家族の大切な思い出の詰まったご実家は、建て替えをためらう方もいらっしゃると思いますので、残す方法も考えながら、よりよい暮らしの場を検討していただければと思います。
DATA
竣工年:2016年1月
工法:木造(在来軸組工法)・2階建て
延床面積(坪):140.77㎡(約42.5坪)(うち増築面積 31.47㎡(約9.5坪))
住宅性能:UA値 0.5W/㎡K
暖房機器:エアコン